「日本かっさ治療学会 設立への想い」
大和鍼灸院に伝承される治療に「高熱をその場で1度下げる治療」があります。
指先から1滴の「瘀血」を排出するだけで熱が1度下がるのです。その効果を初めて体験した時は驚き、好奇心に胸が躍りました。そのメカニズムは現代医学において解明できないことですが、おそらく、発熱時には、赤血球が凝集し「瘀血」となって末梢に停滞→その瘀血を1滴排出→視床下部にその情報が伝達され、解熱してよいと判断→自律神経に作用→ホメオスタシスを維持する働きが起こる、そのようなメカニズムがあることと私は推察しています。
私は、この「瘀血が1滴動くことでの効果」を知ってから「すべての治療には順序がある」と考えるようになりました。鍼灸治療の始めにまず、東洋医学であらゆる症状の根源とされる「三毒」(瘀血、水滞、食毒)の排出を行なうことを決め、その方法として「かっさ」を取り入れました。
三毒の中でも特に「瘀血」を排出することで改善する症状は多く考えられます。様々な疾患や症状について、瘀血との関連を疑いながら治療し、効果を一つ一つ確かめ、代々伝承されてきたかっさ療法に改良を加え、新しい「かっさ治療」を創り上げてまいりました。
例えば、東洋医学では古くから婦人科系疾患の原因は「腹部瘀血」であると言われていますので、かっさ治療にて腹部瘀血を排除する方法を考案しました。1回のかっさ治療だけで、9割の方に次回の月経痛、PMSの消失または改善がみられます。かっさ治療は、月経痛、PMSの治療法として何よりも簡単で効果の早い方法であると自負しております。
同じように、「瘀血」が原因で起こる頭痛、首・肩こり・しびれなどは、かっさ治療により速やかに改善、消失します。また、未だ治療方法の確立しない、群発頭痛、コロナ後遺症の諸症状、むずむず脚症候群、胃食道逆流症による背部と胸部の激痛、強直性脊椎症、線維筋痛症等においても、「瘀血」が関与しているものと想定してモニター患者様への治療を行ない、すべて初回の施術で症状の改善、消失がみられています。
上記のように素晴らしい効果が確認できる「かっさ治療」ですが、現代の科学において、まだ毛細血管内の「瘀血」を確認することができないため、治療のメカニズム、エビデンスは解明されません。
しかし、近年、血管内皮細胞や微小血管についての研究は急速に進んでいます。海外では、骨盤内にある静脈の画像が鮮明になったことで、「Pelvic congestion syndrome/骨盤内うっ血症候群」が月経痛、陰部痛、腰痛等の原因として注目され始めました。これは、東洋医学の腹部瘀血と一致するものであると私は思います。
近い将来、さらに研究が進み「瘀血」が微小血管の中にどのように存在し、どのように排出されるのか、メカニズムが解明されることを期待しています。そして東洋医学、西洋医学双方の見解を一致させ「かっさ治療」のエビデンスを確立させていくことを楽しみにしております。
かっさ治療をともに実践、研究、解明してくださる西洋・東洋医学の研究者、治療家の皆様とつながり、ともに発展し、ひいては、つらい症状にお困りの方にこの治療法が広く届くようになることを願い「日本かっさ治療学会」を設立いたしました。
2022年3月24日 徐 園子
Profile
一般社団法人
日本かっさ治療学会 代表理事
大和鍼灸かっさ治療院 院長
徐 園子(鍼灸師)
じょう そのこ
頸髄損傷の友人との出会いをきっかけに「この友人の絶望の中に希望を見出すこと」それが私の人生のテーマになりました。そして麻痺を改善させることを志し、鍼灸師になりました。
免許取得後すぐにYNSAの本を片手に持ち、友人に鍼をすると、なんと13年間動かなかった指に少しの変化を起こすことができました。その時の驚きと喜びは忘れません。この友人に勇気をもらって、免許取りたての私は、脊髄損傷、脳血管障害、小児脳性麻痺などの難治性の麻痺を改善する挑戦を始めることになります。しかし、すぐにぶつかった壁は、麻痺のある方の持つ「麻痺以外の尋常ではない辛い症状」でした。
車椅子を漕ぐことや麻痺をかばうこと、血液の循環が悪いことで生じる肩こり、首や背部の痛み、頭痛、月経痛…。麻痺はあるけれど妊娠したいというご希望…。
それらの症状を速やかにとるために、重い症状に対して即効性ある治療法の開発が必要でした。そして、先祖代々伝わる「かっさ」にその可能性を見出し、臨床を重ね、独自の治療マップを発見しながら、かっさ板1本で、即時に様々な症状を緩和できる治療法「JSかっさ治療」を生み出しました。患者様とともに日々新しい施術ポイントの発見を重ねています。
これからの私の役目は、かっさ治療により治せる症状を更に広げていくこと、そして、この治療法を広め、痛みから解放される方をお一人、お一人、増やしていくことと思い、精進していく所存でおります。その活動の中で「絶望の中に希望を見出すこと」をこれからも模索し続け、歩んでいきたいと思っております。
History
山元敏勝医師と対談
小学3年の時、水泳の選手コースに入ってからは、毎日、練習の前後に友達とマッサージをし合い、お互いの身体をメンテナンスしました。それが私の原点です。その経験の中で自然にツボを心得、治療家の勘が育まれてきたように思います。
1997
日本体育大学健康学科卒。
・大学4年間、スイミングインストラクターとして水泳指導に携わる。
・子どもの自律神経調節障害を調査。
養護教諭として8年間、小学校勤務。
・日私小連全国教員研修会にて「1年生から6年生までの命の学習」発表。
2011
鍼灸師国家資格取得。大和鍼灸院にて、脳卒中、脊髄損傷、小児脳性麻痺等の「リハビリ鍼灸」 を始める。
以後、ロボット「HALL」、歩行補助ロボット「RE-GAIT」、レッドコード、頭鍼、伝統鍼灸を組み合わせ、国内外からの患者さんに麻痺治療を行なう。
麻痺以外の症状に「かっさ治療」を行ない、かっさ板1本で治せる領域を拡張。
2012
・SPORTIFF134 にて「デトックス鍼灸、かっさ治療」を行なう。
2013
・医道の日本社「取材して分かった 成功治療院の作り方」に「かっさ治療」が掲載される。
・「YNSA 山元式新頭鍼療法 DVD」制作協力
・圧痛点を探しながら鍼を痛みなく刺入させる器具「てい鍼管」開発、特許取得。
2015
・日本鍼灸師会 全国大会 講師 「山元式新頭鍼療法」
・「YNSA 山元式新頭鍼療法 続編 DVD」制作協力・出演
2021
・瘀血、水滞排出のための「漢方かっさオイル」開発。
・大和鍼灸かっさ治療院を出張専門治療院として開院(往診治療)
・大和鍼灸院にて、かっさ治療を中心に施術するスタイルを実践(外来治療:水日限定)
2022
・一般社団法人 日本かっさ治療学会 設立
2024
・日本血栓止血学会学術集会 発表
「JSかっさ治療による筋痛性脳脊髄炎 著効の一症例」
症例発表
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「医道の日本」 2013年11月号
「YNSAでの足のしびれ完治例」
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「医道の日本」 2015年2月号
「花粉症への山元式新頭鍼療法」
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「医道の日本」 2015年5月号
「山元敏勝医師・徐園子対談」
セミナー講師
「山元敏勝医師 YNSA 東京セミナー」
「日本鍼灸師会 全国大会」
「セイリン YNSA セミナー」
「神奈川鍼灸柔道整復専門学校 平井学園セミナー」等
「JSかっさ治療 入門・実技認定セミナー」開講中
山元敏勝医師とDVD制作風景
小児脳性麻痺治療風景
ロボットHALL×鍼灸治療
セミナー講師として